ゆーなかブログ

理学療法士1年目になります。ブログを通じてインプットした知識をアウトプットしていきたいと思います!

empty can test とfull can test の違いについて

双方ともに棘上筋の整形外科的テストとして使用されている。

 

 

ポジションの違い

empty can testは肩関節内旋位での外転運動full can testは肩関節外旋位での外転運動となっている。

 

この肩関節の内外旋のポジションの違いによって、上腕二頭筋長頭の筋走行が変化する

 

肩関節内旋位で行うempty can test では、上腕二頭筋長頭が走行する結節間溝が肩関節の前方に位置することになる。

それに対して、肩関節外旋位で行うfull can test は、結節間溝が肩関節外側に位置することになる。

つまり、肩関節外転運動時に、上腕二頭筋長頭が外転運動に関与することが可能になるため、full can testにおいては棘上筋のみならず、上腕二頭筋長頭の代償が効くことになる。

 

臨床の場面では

上腕二頭筋長頭による代償運動が効きにくいempty can test が有用であることは間違いないが、臨床の場では腱板損傷の患者様に対しては、損傷している棘上筋への負荷を考慮して敢えてfull can test で実施する場面もある。

 

 

 

 

足部横アーチについて

足部横アーチについて

 足部横アーチの役割 

横アーチの役割は、荷重の衝撃緩衝作用である。

 

足部横アーチの種類 

横アーチには、中足部前足部に分けられる。

中足部では、内側・中間・外側楔状骨が楔間関節と楔立方関節を形成し、中間楔状骨が頂点となる。

支持する靭帯は、背側楔間靭帯、背側楔立方靭帯、底側楔間靭帯、底側楔立方靭帯、骨間楔間靭帯、骨間楔立方靭帯がある。

筋肉は、前脛骨筋、後脛骨筋、長腓骨筋がある。

 

前足部では、第1〜5中足骨頭がアーチを形成し、第2中足骨が頂点となる。

支持する靭帯としては、背側中根中足靱帯、底側足根中足靱帯、骨間楔中足靱帯および深層中足靱帯がある。筋肉は、前脛骨筋、後脛骨筋、長腓骨筋、母趾内転筋横頭がある。足底腱膜も足部横アーチの安定化に寄与する。

 

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 ”足部・足関節 理学療法マネジメント 機能障害の原因を探るための離床思考を紐解く P156” 引用 

 

足部横アーチ低下の原因について

足部横アーチの低下は臨床的には開帳足と呼ばれることが多く、歩行時やヒールレイズなどの前足部への荷重時に第2,3中足骨に疼痛が生じる症例が非常に多くなっている。

 

横アーチの低下の原因としては、第1リスフラン関節内転、内外側縦アーチ支持筋機能低下、足部内在筋機能低下、足趾機能の低下などがある。

 

第1リスフラン関節の内転

 第1中足骨の内転による前足部の開帳が横アーチの低下を招く。

 治療としては、楔舟関節や第1リスフラン関節の可動性改善が必要となる。

 

内外側縦アーチ支持筋の機能低下

 横アーチを支持する筋機能としては、内外側縦アーチ支持筋である後脛骨筋や長腓骨筋のトレーニングによって横アーチの向上を図ることが重要となる。

 

足部内在筋機能低下

 前足部横アーチ向上を目的とした虫様筋などの足部内在筋の活性化も重要となり、MP関節の屈曲運動がある。

 

足趾機能の低下

 外反母趾や内反小趾などのアライメント異常などは横アーチの低下に影響しやすい。

 また、足趾筋として母趾外転筋、母趾内転筋、小趾外転筋などがある。

 

上記の機能低下に対して治療を行うとともに、中足骨パッドをインソールに挿入するなど補装具の使用も考慮することが非常に重要となる。

 

 

腱板断裂(rotator cuff tear)のMRI所見について

腱板断裂(rotator cuff tear)について

 

 目次

 腱板断裂について

40歳以上の男性に好発する。疼痛などの症状がなくても部分断裂がある場合もある。

最も損傷されやすいのは棘上筋となっている。

 

腱板断裂のMRI所見について

 

腱板断裂はMRIのT2WIにて筋腱の連続性が不整、もしくは高信号となっている。

断裂部にT2にて高信号となるのは、損傷部の滑液包に液体貯留がみられるため。

下の写真の場合では、棘上筋腱の連続性の不整がみられ、高信号となっている。

 

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”MRI Images Showing Torn Rotator cuff"

centenoschultz.com

 

腱板筋の整形外科的テスト

棘上筋の評価 

 empty can test (thumb down)

 基本肢位は肩甲骨面上(肩挙上45°)で、母指を下向きにした状態で

 肩挙上に対して抵抗をかけて判定する。

 full can test (thumb up)

 基本肢位は肩甲骨面上(肩挙上45°)で、母指を上向きにした状態で

 肩挙上に対して抵抗をかけて判定する。

 

肩甲下筋の評価

 lift off test 

 結滞肢位(手の甲を背中につける)で手の甲を背中から離すように

 持ち上げることができるかを判定する。

 belly press test

 結滞姿勢がとれない人に対して有用となる。

 手の平を腹部に置いた状態で、腹部を圧迫するように指示した時に

 肘関節が前方に移動するのに対して抵抗をかけ筋発揮を確認する。

 

棘下筋・小円筋の評価

 Horn blower's test

 端座位の状態から、手を口元につけるように指示した時に

 肘を高く挙げずに、肩関節の外旋によって手を口元に近づける

 ことができるかを確認する。

 特に小円筋の筋力低下を反映したテストである。

 

血圧(blood pressure:BP)について

血圧について

 

 

 

収縮時血圧(systolic blood pressure:SBP)

 

血液を送り出すために心臓が収縮し、押し出された血液が大動脈壁にかける圧力がSBPである。動脈硬化などにより血管の弾力性が低下すると、拍出された血液を大動脈が圧力を逃がすことなく受け止めるため、SBPは上昇する。

 

拡張期血圧(diastolic blood pressure:DBP)

 

心臓から駆出された血液が大動脈を拡張させ、生じた張力の反動により血液を末梢へ押し出す際の圧力がDBPである。動脈硬化により大動脈の弾性力が低下すると、拡張した血管が戻ろうとする力が弱まるため、DBPが低下する。

 

脈圧

 

SBPとDBPの差が脈圧となる。

脈圧の上昇は動脈硬化の指標の1つとなり、心血管疾患および脳血管疾患のリスクを高めるとされている。一方、心不全患者では、心拍出量の減少によってSBPが低下し、相対的に脈圧が低下することがある。

 

血圧に影響を及ぼす因子

 

血圧=心拍出量×末梢血管抵抗

 

心拍出量=一回拍出量×心拍数

 

一回拍出量=左室拡張末期容積―左室収縮末期容積

 

血圧のフィードバック機構

長期臥床患者が臥位から立位へ姿勢変化し動脈圧が低下すると、大動脈弓と頸動脈洞の圧受容器が刺激され、延髄の心臓中枢と血管運動中枢の亢進によって、心拍数上昇や心収縮力上昇による心拍出量の上昇と、末梢血管の収縮による総末梢血管抵抗の上昇が挙げられる。

 

脈拍の触診部位

総頚動脈 触れることができればSBP>60mmHg

橈骨動脈 触れることができればSBP>80mmHg

 

長期臥床していた患者への立位訓練時は、血圧測定にある程度の時間を要するため、

橈骨動脈を触知するなどして確認できる。

 

 

 

 

 

 

肩甲上腕関節における静的安定機構

関節包および関節上腕靭帯

関節包前方部の中でも肥厚した部位は関節上腕靭帯といわれる。

上方から上関節上腕靭帯(SGHL)・中関節上腕靭帯(MGHL)・下関節上腕靭帯(IGHL)がある。

 

SGHLの近位付着は、上腕二頭筋が付着している前で関節上結節付近である。遠位では、小結節の上で上腕骨解剖頸に付着している。下垂位での上腕骨頭の前方、下方移動、下垂位での外旋、内転にて緊張する。

 

MGHLの近位付着は、関節窩前縁の上および中面に広く付着する。遠位では、解剖頸の前面に沿って付着する。45〜60°外転位での上腕骨頭の前方移動にて緊張する。

 

IGHLの近位付着は関節唇を含む関節窩の前下縁の周辺である。遠位では、解剖頸の前下縁から後下縁に広く付着している。

前方線維は、外転、90°外転位での上腕骨頭の前方移動、90°外転位での外旋

腋窩陥凹は、外転

後部線維は、外転、90°外転位での内旋にて緊張する

 

IGHLの前部線維は、関節包の中で最も強力で分厚い部分であり、投球動作時などの外転・外旋位で特異的にストレスがかかる。頻繁にこの動作を繰り返すと、前部線維束は過伸張あるいは断裂する。

また、肩関節前方脱臼においても損傷が生じやすく、肩関節の前方不安定が生じやすい。

 

参考文献 筋骨格系のキネシオロジー P156〜157

自律神経過反射について

自律神経過反射(Autonomic Dysreflexia:AD)

 

内臓神経が障害されるTh5以上の脊髄損傷者のほとんどでみられる合併症である。

 

症状

鳥肌、発汗、顔面紅潮、徐脈、血管攣縮、高血圧

 

原因

膀胱の充満、カテーテルの詰まり、腸の過膨張、皮膚の感染症、褥瘡などが刺激となり発生する

 

対処法

臥位の場合は、頭部を挙上し血圧を下げる。

原因を見つけ、取り除く。

 

メカニズム

自律神経過反射(AD)は、膀胱貯留などの損傷レベルより下部に刺激があった場合に発生します。その刺激は、損傷レベルまでの脊髄へ神経インパルスとして伝達されます。しかし、その神経インパルスは、脊髄損傷レベルで遮断され脳までは届かず、自律神経の交感神経系の活動を強める反射が起こり、損傷部位以下のレベルでは血管攣縮や高血圧などの交感神経優位の症状が現れる。

血圧上昇は、大動脈弓や頸動脈洞に圧受容器が血圧上昇を感知して延髄の血管運動中枢に血圧を下げる為に、HRの低下させる。また、血管拡張をさせるような指令も送るが、損傷部位以下への脊髄には伝わらないため、損傷部位以上での鳥肌、発汗などの副交感神経優位の症状が出現する。

 

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引用文献 中枢神経障害理学療法テキスト 南江堂 

肩関節後方関節包の拘縮について

肩関節後方関節包の拘縮について

 

肩峰下インピンジメントの起こる原因としては、関節拘縮、腱板筋の機能低下、肩甲骨運動の異常など様々ある。

 

Murakiらによると、肩関節後方関節包の拘縮によって、関節窩から上腕骨頭が偏位することが報告されている。拘縮組織と反対側に上腕骨頭が偏位することによって関節包内運動の異常が生じ、接触圧が増加することが考えられている。

 

参考文献:"Muraki T et al:Effects of posterior capsule tightness on subacromial contact behavior during shoulder motions."

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