血圧(blood pressure:BP)について
血圧について
収縮時血圧(systolic blood pressure:SBP)
血液を送り出すために心臓が収縮し、押し出された血液が大動脈壁にかける圧力がSBPである。動脈硬化などにより血管の弾力性が低下すると、拍出された血液を大動脈が圧力を逃がすことなく受け止めるため、SBPは上昇する。
拡張期血圧(diastolic blood pressure:DBP)
心臓から駆出された血液が大動脈を拡張させ、生じた張力の反動により血液を末梢へ押し出す際の圧力がDBPである。動脈硬化により大動脈の弾性力が低下すると、拡張した血管が戻ろうとする力が弱まるため、DBPが低下する。
脈圧
SBPとDBPの差が脈圧となる。
脈圧の上昇は動脈硬化の指標の1つとなり、心血管疾患および脳血管疾患のリスクを高めるとされている。一方、心不全患者では、心拍出量の減少によってSBPが低下し、相対的に脈圧が低下することがある。
血圧に影響を及ぼす因子
血圧=心拍出量×末梢血管抵抗
心拍出量=一回拍出量×心拍数
一回拍出量=左室拡張末期容積―左室収縮末期容積
血圧のフィードバック機構
長期臥床患者が臥位から立位へ姿勢変化し動脈圧が低下すると、大動脈弓と頸動脈洞の圧受容器が刺激され、延髄の心臓中枢と血管運動中枢の亢進によって、心拍数上昇や心収縮力上昇による心拍出量の上昇と、末梢血管の収縮による総末梢血管抵抗の上昇が挙げられる。
脈拍の触診部位
総頚動脈 触れることができればSBP>60mmHg
橈骨動脈 触れることができればSBP>80mmHg
長期臥床していた患者への立位訓練時は、血圧測定にある程度の時間を要するため、
橈骨動脈を触知するなどして確認できる。