肩甲上腕関節における静的安定機構
関節包および関節上腕靭帯
関節包前方部の中でも肥厚した部位は関節上腕靭帯といわれる。
上方から上関節上腕靭帯(SGHL)・中関節上腕靭帯(MGHL)・下関節上腕靭帯(IGHL)がある。
SGHLの近位付着は、上腕二頭筋が付着している前で関節上結節付近である。遠位では、小結節の上で上腕骨解剖頸に付着している。下垂位での上腕骨頭の前方、下方移動、下垂位での外旋、内転にて緊張する。
MGHLの近位付着は、関節窩前縁の上および中面に広く付着する。遠位では、解剖頸の前面に沿って付着する。45〜60°外転位での上腕骨頭の前方移動にて緊張する。
IGHLの近位付着は関節唇を含む関節窩の前下縁の周辺である。遠位では、解剖頸の前下縁から後下縁に広く付着している。
前方線維は、外転、90°外転位での上腕骨頭の前方移動、90°外転位での外旋
腋窩陥凹は、外転
後部線維は、外転、90°外転位での内旋にて緊張する
IGHLの前部線維は、関節包の中で最も強力で分厚い部分であり、投球動作時などの外転・外旋位で特異的にストレスがかかる。頻繁にこの動作を繰り返すと、前部線維束は過伸張あるいは断裂する。
また、肩関節前方脱臼においても損傷が生じやすく、肩関節の前方不安定が生じやすい。
参考文献 筋骨格系のキネシオロジー P156〜157