腸脛靭帯(ITT)遠位部の解剖学的構造
腸脛靱帯(ITT)について
腸脛靭帯(ITT)は、大腿筋膜から起こり、大腿筋膜張筋と大殿筋の付着により肥厚しており、脛骨外側部(Gerdy結節)に付着する。
大腿筋膜張筋の張力を停止部の脛骨外側部(Gerdy結節)に伝え、伸展された膝関節の安定性補助となりうる。
腸脛靭帯(ITT)遠位線維は
浅層線維束
大腿筋膜張筋と殿筋表層の腱膜から膝蓋骨表層(Ⅰ)と膝蓋骨側方(Ⅱ)に付着する。
中間線維束
大腿筋膜張筋と大殿筋の腱膜からGerdy結節前方部(Ⅲ)に付着
深層線維束
殿筋の深層部の腱膜からGerdy結節の後方部(Ⅳ/Ⅴ)とその周囲に付着(Ⅵ/Ⅶ)に付着
参考文献:腸脛靱帯遠位部の線維構築と大腿-膝外側支持機構との関連性について
ITTの遠位部は3層構造となっており、全体で7つの線維束からなる複合体であることが書かれている。
浅層線維束のⅠとⅡは膝蓋骨に付着することから、膝関節伸展時の膝蓋骨の運動制御に関わるとともに、膝関節終末伸展回旋(screw home movement)にも関与することが言える。
腸脛靱帯炎の発生機序に関わる因子としては、中間線維束(Ⅱ〜Ⅳ)が膝関節の初期屈曲において外側上顆との間で機械的摩擦を受けやすいことも示唆されている。