低負荷運動の有用性
低負荷運動の有用性
一般的には、筋力増強訓練を行う際は、最大負荷量(1RM:repetition maximun)の70〜80%程度の高負荷量が推奨される。
しかし、対象が高齢者である場合は、このような高負荷トレーニングを行うこと必要はない。
Casapoらは、高齢者を対象とした1RMの70〜80%程度の高負荷運動と1RMの40〜50%程度の低負荷運動の筋力増強効果をメタ解析した結果、両者に明確な差はないことを示した。
参考文献“Csapo R,et al:Effects of resistance training with moderate vs heavy loads on muscle mass and strength in the elderly: A meta-analysis .”
つまり、負荷量が高ければ良いというものではなく、負荷料、回数、セット数より算出できる仕事量を高く設定することが重要である。たとえ低負荷のトレーニングであっても十分な回数とセット数を担保していれば、筋力増強効果が期待できるということである。
1RMの20%という非常に低負荷量でのトレーニングでも1セット80〜100回という回数を反復することで筋力増強効果が得られる.
参考文献“Van Roie E,et al:Strength training at high versus low external resistance in older adults: effects on muscle volume, muscle strength, and force-velocity characteristics.”
1RMの16%というさらに低負荷量でのトレーニングでも36回の反復運動を10セット実施することでタンパク合成反応が高まることが示唆されている。
参考文献“Agergaard J,et al:Light-load resistance exercise increases muscle protein synthesis and hypertrophy signaling in elderly men.”
高齢者などに筋力増強訓練を提案する際は、高負荷レジスタンストレーニングを必ずしも実施させなければならないということではなく、低負荷レジスタンストレーニングでも十分な回数、セット数を担保することで、筋力増強効果が期待できるということである。