ゆーなかブログ

理学療法士1年目になります。ブログを通じてインプットした知識をアウトプットしていきたいと思います!

低負荷運動の有用性

 低負荷運動の有用性

 

一般的には、筋力増強訓練を行う際は、最大負荷量(1RM:repetition maximun)の70〜80%程度の高負荷量が推奨される。


しかし、対象が高齢者である場合は、このような高負荷トレーニングを行うこと必要はない。


Casapoらは、高齢者を対象とした1RMの70〜80%程度の高負荷運動と1RMの40〜50%程度の低負荷運動の筋力増強効果をメタ解析した結果、両者に明確な差はないことを示した。
参考文献“Csapo R,et al:Effects of resistance training with moderate vs heavy loads on muscle mass and strength in the elderly: A meta-analysis .”

 

つまり、負荷量が高ければ良いというものではなく、負荷料、回数、セット数より算出できる仕事量を高く設定することが重要である。たとえ低負荷のトレーニングであっても十分な回数とセット数を担保していれば、筋力増強効果が期待できるということである。

 

1RMの20%という非常に低負荷量でのトレーニングでも1セット80〜100回という回数を反復することで筋力増強効果が得られる.

参考文献“Van Roie E,et al:Strength training at high versus low external resistance in older adults: effects on muscle volume, muscle strength, and force-velocity characteristics.”

 


1RMの16%というさらに低負荷量でのトレーニングでも36回の反復運動を10セット実施することでタンパク合成反応が高まることが示唆されている。

参考文献“Agergaard J,et al:Light-load resistance exercise increases muscle protein synthesis and hypertrophy signaling in elderly men.”

 

高齢者などに筋力増強訓練を提案する際は、高負荷レジスタンストレーニングを必ずしも実施させなければならないということではなく、低負荷レジスタンストレーニングでも十分な回数、セット数を担保することで、筋力増強効果が期待できるということである。

痛覚受容器について

痛覚受容器の興奮に関与する主な物質

ブラジキニン(BK)、ヒスタミン、プロスタグランジンなどがある。

 

 

ブラジキニン(BK)

 

ブラジキニン(BK)は、侵害受容器、血管内皮細胞、マクロファージ、線維芽細胞、肥満細胞に作用する。

血管内皮細胞に対して収縮作用があるため、血管透過性が亢進し、隣り合う内皮細胞の間隙から分子量の小さい物質が血管内から組織間隙へ容易に流出するため浮腫が誘発される。さらに、ブラジキニンは血管内皮細胞に直接働きかけ、一酸化窒素(NO)の産生を促し、平滑筋の弛緩による血管拡張に間接的に作用する特徴を持つ。また、筋を最大張力の50%で持続的に収縮させると、血中のブラジキニン濃度が上昇し、痛みを引き起こすことが確かめられている。

 

プロスタグランジン(PG)

 

プロスタグランジン(PG)は、ブラジキニンの作用を増強する発痛増強物質である。

プロスタグランジンは侵害受容器の反応を感作する。侵害受容器からの入力を介して、脊髄の侵害受容ニューロンの興奮性を高める。

また、体温調節中枢の温度感受性ニューロンの活動性を変え、体温の設定値を上昇させるため、発熱にも関与している。

 

ヒスタミン

 

炎症時にサブスタンスPの刺激を受けた肥満細胞から遊離され、血管拡張作用や血管透過性亢進作用を有する。低濃度では痒みを惹起させ、高濃度では疼痛を惹起する。

 

 

 

後脛骨筋CKCトレーニング

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扁平足患者の多くは後脛骨筋の機能不全を有する。

 

一般的なトレーニングとしては、エラスチックバンドを前足部内側に巻き、外側から抵抗を加えての足部内転運動が推奨される。

 

しかし、実際の動作時と同じようにCKCでのトレーニングも段階的に必要である。

荷重下での後脛骨筋トレーニングカーフレイズである。

特に、足部30°内転位でのカーフレイズ後脛骨筋の筋活動量が高いとされている。

足部内転位でのカーフレイズを行う際は、小趾球に荷重をかけ、踵挙上とともに足部内返しを意識させると効率的に行うことができる。

 

また、足部アーチ保持に関与する長趾屈筋においても、足部30°内転位でのカーフレイズが筋活動量の多いトレーニング方法なっている。

長趾屈筋においても、タオルギャザーなどの難易度の低いトレーニングから行い、足部内転位でのカーフレイズなどのCKCトレーニングを段階的に行っていく必要がある。

 

 

BUN /クレアチニン比について

BUN(尿素窒素)とクレアチニンの比について

 

BUN(尿素窒素) 基準値8〜21mg/dl

蛋白質がアミノ酸に代謝分解されるとアンモニア(NH3)が産生される。アンモニアは人体にとって毒性が強いため、肝臓で尿素に再構成される。その尿素は腎臓を介して排泄される。その尿素の測定には、尿素に含まれている窒素量で表すため尿素窒素(BUN)となる。

この尿素窒素(BUN)は、腎不全などの腎臓障害で高値となるほか、腎臓障害にも高値となることがある。

例えば、脱水や心不全などの循環血液量の低下によって腎血流量が低下し、尿量が低下することで血液中の尿素窒素は排出できないようになる。排出できなければ、血液中の尿素窒素(BUN)は高値となる。多尿時には低下する。

また、蛋白質の摂取量にも依存する。蛋白質の摂取量が多ければ、数値は上昇し、菜食主義者などの摂取量が少なければ数値は低下する。

このようにGFR(糸球体濾過率)以外の要素も数値の変動に関わるため、クレアチニンよりも腎機能の指標としては信頼度が低くなっている。

 

クレアチニン 基準値 男1.2mg/dl以下 女1.0mg/dl以下

クレアチニン95%は筋肉内に存在している。そして、腎糸球体で100%濾過されたのち、ほとんど再吸収されずに尿へと排泄される。健康成人での体内クレアチニン量は100〜120gであり、約1%が毎日代謝される。すなわち役1000mgがクレアチニンとして尿中に排泄されていることになる。クレアチニン産生量は、各人の筋肉量に依存しているため、筋肉量の少ない女性、子供、高齢者や四肢切断者、筋萎縮患者では低値となる。

血清クレアチニン値はBUNに比べ変動が少ないため腎機能の指標として用いられるが、体格(筋肉量)による差が出やすいこと、また初期の腎機能障害を検出しやすいという欠点がある。

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 BUN /クレアチニン比

糸球体で濾過された尿素は、その後40〜60%が尿細管において再吸収される。特に脱水症や心不全などの腎血流量が低下した状態では、尿細管内での尿の流れが遅く、バソプレシン(ADH)の分泌が亢進している。このような病態では尿細管から尿素窒素の再吸収の割合が増加し、クレアチニンに対してBUNの値が高くなる

 

BUN /クレアチニン比>10〜20の場合

・循環血液量の減少

 脱水症、心不全、利尿薬

・尿素窒素産生の亢進

 高蛋白食、アミノ酸輸液、消化管出血、蛋白異化亢進

 

BUN /クレアチニン比<10の場合

循環血液量の増加(妊娠)、多尿(尿崩症)、底蛋白食、重症肝不全など

 

 

 

 

Kager’s fat pad(KFP)について

Kager’s fat pad(KFP)について

 

Kager’s fat pad(KFP)は、アキレス腱と長母趾屈筋腱と踵骨に挟まれた三角形の空間に存在する脂肪組織である。この脂肪組織は①アキレス腱関連領域、②長母趾屈筋関連領域、③踵骨滑液包ウェッジの3つに分けられる。

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それぞれの領域に役割があり、アキレス腱に入り込む血管の保護、底屈中の滑液包ウェッジの運動への寄与、滑液包内の圧変化の調整を行う作用を有する。脂肪組織は、他の軟部組織と同様に、概ね2週間程度の固定、非荷重などの環境にさらされると、萎縮や線維増生などの組織学的変化が生じる。

その予防には、関節固定肢位はほとんど影響せずに、足趾の自動運動によるアキレス腱周囲の軟部組織の柔軟性および滑走性の維持が非常に重要となる。

 

Kager’s fat pad(KFP)はエコーを用いて動態を評価することが可能となっているが、柔軟性を定量的に評価する方法は存在しない。そのため、アキレス腱の深部を徒手的に把持し、内外側方向に圧迫することでKager’s fat pad(KFP)の柔軟性を評価する。柔軟性低下があれば圧痛を認めることも多い。

 

 

距骨下関節とショパール関節の関係性

距骨下関節とショパール関節の関係性

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 引用文献:ペリー歩行分析 

 

距骨下関節

回外位

中間位

回内位

後足部肢位

内反位

中間位

外反位

足部剛性

増加

 

低下

 

距骨下関節の肢位によってショパール関節を構成する距舟関節の関節面、踵立方関節の関節面の位置関係も変化することとなる。

左図のように距骨と踵骨の運動軸が平行(後足部外反位)になると、関節運動は可動しやすく、足部の剛性は低下する。

右図のように距骨と踵骨の運動軸が平行(後足部内反位)になると、関節運動は可動しにくい状態となり、足部の剛性は増加する。

 

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引用文献:ペリー歩行分析

 

正常人の歩行では、立脚初期の距骨下関節回外(後足部内反位)によって足部の剛性が高まり推進機能の役割を果たす。また、立脚中期〜立脚後期では距骨下関節回内(後足部外反位)によって足部の剛性を低下させ柔軟性を高くすることで、踵骨外側から母趾球へ重心を移行させる。立脚後期〜前遊脚期では距骨下関節回外(後足部内反位)によって足部の剛性を高め、蹴り出しによる床反力を足部全体に伝達しやすい状態となる。

 

内側縦アーチの低下などによる足部アライメントの異常によって、歩行時の足部機能を果たせなくなり、歩行効率が悪くなる。

 

 

 

内側縦アーチの支持機構について

 

内側縦アーチの支持機構について

踵骨、距骨、舟状骨、3個の楔状骨、第1〜3中足骨からなり、距骨下関節、距舟関節、リスフラン関節を構成する。内側縦アーチは、外側アーチよりも高く、頂点は舟状骨となる。

 

静的支持機構

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参考文献:laquinto JM,et al:Computational model of the lower leg and foot/ankle complex:application to arch stability.

 

内側縦アーチの静的支持機構として主に底側踵舟靭帯、長・短足底靭帯、足底腱膜の3つがある。各組織の内側縦アーチ寄与率は、底側踵舟靭帯(8.0%)、長・短足底靭帯(12.5%)、足底腱膜(79.5%)となっており、静的支持機構としては足底腱膜がほとんどの割合を占めている。

 

動的支持機構

足部アーチは足部内在筋や外在筋によって動的に支持されている。その中で最も重要な筋は後脛骨筋となっている。

起始:脛骨後内側、下腿骨間膜、腓骨で下腿遠位1/3から腱に移行する

停止:舟状骨粗面、楔状骨、第2、3、4中足骨

歩行時は、立脚初期と推進期に二峰性の活動パターンを示す。

立脚初期では、踵接地後に生じる距骨下関節の外がえし運動を、内がえしモーメントアームの最も大きい後脛骨筋が制動するために起こるとされる。

推進期では、距骨下関節を内がえしさせ、ショパール関節をロックすることで、足部の剛性を高め、力の伝達効率を高めることに寄与している。

 

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 参考文献:Akuzawa H,et al:Calf muscle activity alteration with foot orthoses insertion during walking measured by fine-wire electromyography.

 

後脛骨筋の機能不全は、足部機能に大きな影響を引き起こす。後脛骨筋の機能には、後脛骨筋腱の状態が大きく影響している。後脛骨筋腱は屈筋支帯に支持されながら足根管内を走行し、内果後方では平坦化する。この部分は、線維軟骨が豊富であるが、血流に乏しい特徴をもつ。さらに、後脛骨筋腱は、内果後方からほぼ直角に角度を変えて舟状骨に向かって走行する。この血流の乏しさと急峻な腱走行角度の変化が、腱の退行性編成に関わるとされている。退行変性が生じることにより、後脛骨筋の緊張力を正常に伝達できなくなり、足部アーチ保持機能を果たすことができなくなる。

参考文献:Trnka HJ:Dysfunction of the tendon of tibialis posterior